帳簿と明細を定期的に照らし合わせないと、記録の誤りや不正な取引に気付きにくくなります。不正な取引の代表例がクレジットカードの不正利用で、日本クレジット協会の調査によると、2025年の被害額は510.5億円に上りました。
こうした不正な取引や記録の誤りを見つけるために行うのが、帳簿と明細を照らし合わせる「決済照合」です。
この記事では、決済照合の意味や種類、手順のほか、会計ソフトや自動化を取り入れるタイミングを紹介します。

決済照合とは
決済照合とは、帳簿や売上レポートにある入金や支払いの記録を、銀行や決済代行会社の明細と1件ずつ照らし合わせ、金額や日付、処理の状況が一致しているかを確かめる作業です。帳簿管理や会計業務の一部として行います。
照らし合わせる明細には、銀行明細やクレジットカードの利用明細、決済代行会社が入金ごとに内訳をまとめた入金明細があります。
決済照合が重要な理由
決済照合が重要なのは、帳簿上の取引と銀行や決済代行会社の記録を確認し、ずれがあった場合に、帳簿を締める前に原因を突き止めて説明できるようにするためです。ずれの多くは記録時期の差や入力ミスによるものですが、手数料や返金で入金額が変わっていたり、カードの不正利用など、自社が行っていない取引が含まれていたりすることもあります。
照合を済ませた記録は、使える現金や未回収の残高を把握するキャッシュフロー管理のほか、税理士が帳簿の取引を明細までさかのぼって調べる際の資料にも使えます。

決済照合の種類
銀行口座
銀行口座の照合(銀行勘定調整)では、帳簿の預金残高を銀行の明細と比べます。一致しない原因の多くは時間差です。
たとえば6月30日に預け入れたお金が銀行では7月1日付で記録された場合、6月の照合では銀行に未反映の入金として扱い、7月の明細に載った時点で照合済みにします。反対に、銀行の手数料や利息など、帳簿より先に銀行の明細に載るものもあります。
クレジットカード
クレジットカードの照合では、会社のカードで支払った仕入れや経費、返金を、カード会社の利用明細と比べます。
たとえば50,000円の仕入れを帳簿に5,000円と打ち間違えていたら、利用明細の金額に合わせて帳簿を直します。
デジタルウォレット
デジタルウォレットの照合では、注文ごとに決済代行会社の記録と銀行への入金を確かめます。
たとえばShop Pay(ショップペイ)で10,000円の注文を受け、決済手数料300円を差し引いた9,700円が入金されたとします。この場合は売上10,000円と支払手数料300円を帳簿に記録し、9,700円を銀行口座への入金と照合します。
現金とPOSレジ
実店舗のレジ締めでは、POSレジの売上を支払い方法ごとに分けて照合します。
たとえば売上200,000円のうち現金が50,000円なら、レジの中に50,000円あるかを数えます。カードやコード決済の150,000円は、決済代行会社のレポートや入金明細と照らし合わせます。
決済代行会社
決済代行会社の入金照合では、売上と入金額を入金明細の内訳と突き合わせ、差額があればその原因を突き止めます。
たとえば、ネットショップで1週間に500,000円分の注文があったのに、銀行口座への入金は450,000円だったとします。入金明細を見ると、返金30,000円と決済手数料20,000円が差し引かれていました。差し引き後の450,000円が銀行への入金額と帳簿の金額の両方と一致すれば、照合済みにします。
売掛金と買掛金
売掛金の照合では、顧客からの入金を請求書と比べ、未回収の残高を確かめます。買掛金の照合では、仕入先からの請求書と自社の支払いを、買掛金の帳簿と比べます。
たとえば、取引先から150,000円がまとめて振り込まれた場合、90,000円と60,000円の2件の請求書への入金だと確認します。それぞれを入金済みとして処理すると、この2件に対応する売掛金の残高は0円になります。
請求書
請求書の照合では、代金を支払う前や請求する前に、請求書の単価と数量が契約書や発注書、利用実績と合っているかを確かめます。
たとえば、ソフトウェア会社から30人分の利用料として90,000円の請求書が届き、契約書を見ると1人3,000円で25人分だったとします。正しい金額は75,000円なので、請求書を訂正してもらってから支払います。
外貨建て取引
外貨建て取引の照合では、請求日から支払日までの為替レートの変化を帳簿に記載します。
たとえば、1ユーロ170円のときにイタリアの仕入先から1,000ユーロの請求を受けると、買掛金は170,000円です。支払うまでに1ユーロ165円になれば支払額は165,000円に下がるため、差額の5,000円を為替差益として記録します。

決済照合のやり方
1. 資料を揃える
請求書や領収書、売上レポート、総勘定元帳などの社内の記録と、銀行の明細やクレジットカードの利用明細、決済代行会社の入金明細や取引データを集めます。照合する期間を決めたら、銀行や決済代行会社のレポートのうち、自社と締め時刻が違うものを控えておきます。締め時刻がずれていると、同じ支払いが別の期間に入る場合があるためです。
2. 取引を照合する
社内の取引を1件ずつ外部の記録と比べ、日付、金額、内容、通貨のほか、注文番号や取引IDがあればそれらも確認します。複数の注文がまとめて入金された分は、銀行の明細に合計額しか載らないため、入金明細の合計と入金額を比べます。一致したものは照合済み、一致しないものは未照合として分けます。
3. ずれを調べて直す
領収書や決済代行会社のレポートを確かめたり、銀行に問い合わせたりして、一致しなかった取引の原因を調べます。よくある原因には、次のようなものがあります。
- チャージバック:異議申し立てを受けて、完了した支払いの全部または一部が取り消される
- 決済の失敗:注文には支払いの試みが記録されているが、決済が完了していない
- 決済手数料:手数料を差し引いた額が銀行に入金される
原因がわかったら、帳簿の金額や勘定科目を直し、入金済みか未入金かの記録も更新します。根拠にした領収書や決済代行会社のレポートは、修正した仕訳と一緒に保管しておきます。
4. 照合の結果を確定する
修正内容をすべて見直し、帳簿の残高が明細やレポートの残高と一致していれば、総勘定元帳に記帳します。照合レポートには、対象の期間、使った帳簿や明細、見つかったずれとその直し方、解消できずに残ったずれを記録します。
Shopify(ショッピファイ)の決済サービスであるShopifyペイメントを使う場合は、アクティビティレポートの入金合計を、銀行口座への入金額とも突き合わせます。一致を確かめたアクティビティレポートは、照合レポートと一緒に保管します。

決済照合の具体例
たとえば、月末の帳簿の預金残高が61,000円、銀行の明細の残高が50,000円で、この11,000円の差は、次のような銀行への反映の時間差や帳簿への記録漏れによって生じたとします。
- 顧客からの入金30,000円:帳簿には記録済みで、銀行への反映は翌月になる
- 仕入先への振込20,000円:月末に手続きして帳簿に記録したが、銀行での処理は翌営業日になる
- 銀行手数料1,000円:明細に載っているが、帳簿に記録していない
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記録 |
照合前の残高 |
未反映の入金 |
未処理の振込 |
銀行手数料 |
照合後の残高 |
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銀行の明細 |
50,000円 |
+30,000円 |
−20,000円 |
なし |
60,000円 |
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帳簿 |
61,000円 |
なし |
なし |
−1,000円 |
60,000円 |
銀行が翌月に入金と振込の処理を完了すると、両方の取引が明細にも反映されて帳簿とのずれが解消されます。そのため帳簿では、記録が漏れていた銀行手数料1,000円だけを修正します。

決済照合の方法と自動化
決済照合は、手作業、会計ソフト、ストアと会計ソフトの自動連携のいずれでも行えます。
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方法 |
仕組み |
向いている場合 |
注意点 |
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手作業 |
明細と取引データを表計算ソフトで比べる |
取引が少なく、販売チャネルが1つ |
照合と入力の手作業が必要 |
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会計ソフト |
銀行の明細を取り込み、一致しそうな取引をソフトが提案する |
取引量が中程度で、記帳の手順が決まっている |
取り込んだ内容と、一致しなかった取引の確認が必要 |
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自動連携 |
ストアの取引と入金データを会計ソフトへ自動で送る |
取引が多い、または販売チャネルや通貨が複数ある |
最初の勘定科目の対応づけと定期的な確認が必要 |
決済照合を自動化するタイミング
取引が増え、手作業の照合が締めに間に合わなくなってきたときが、自動化を検討する時期です。次のような状況が目安になります。
- 1回の入金に数十〜数百件の注文が含まれる
- 決済代行会社、販売チャネル、通貨のいずれかが複数ある
- 締めのたびにCSVを書き出し、仕訳を手入力している
- 繰り返し出る入金の差額を、毎回何時間もかけて調べている
Shopifyで使える照合のツール
取引量や使っている会計ソフトに合わせて、Shopifyのレポートと会計アプリを組み合わせられます。
- Shopifyペイメントのアクティビティレポート:期間内の残高の動きを手数料、返金、チャージバック、調整、入金に分けて確認でき、入金の合計を銀行口座の入金額と比べられます。コンビニ決済や後払いなど、ほかの決済サービスで処理した分は含まれません。
- 財務レポート:決済の財務レポートで決済サービスごとの決済総額、返金、純決済額がわかり、アクティビティレポートと比べることで時期や合計がずれた理由を確かめられます。
- 支払いページ:管理画面の[財務]>[支払い]で銀行口座への送金状況を1件ずつ確認でき、入金ごとの取引をCSVファイルに書き出せます。
- 仕訳ブリッジ:注文ごとか日次のまとめで、freee会計やマネーフォワードクラウド会計に仕訳を自動で記帳するアプリです。会計ソフト側の仕訳と照合して、記帳漏れも見つけられます。

決済照合を続けるためのポイント
照合する時期を決める
レジの現金とPOSレジの支払い方法ごとの売上は毎営業日の終わりに、銀行口座とクレジットカードは月末にまとめて照合します。決済代行会社からの入金は、銀行口座に届くたびに確かめます。
照合の手順を文書にする
どの記録を確認するか、誰が照合を行い、誰が承認するかを手順書にまとめます。手順書には、照合と承認を別の担当者が行うことと、担当者ごとの権限を定めておきます。
まとめ
決済照合は、帳簿の入金や支払いの記録を銀行や決済代行会社の明細と照らし合わせ、一致しているかを確かめる作業です。資料を揃え、取引を照合し、ずれを調べて直したうえで結果を確定する、という手順で進めます。照合する時期と手順を決め、取引が増えたら自動化も検討しましょう。
Shopifyペイメントを使えば、銀行口座への入金ごとの内訳を支払いページで、期間ごとの残高の動きをアクティビティレポートで確認できます。Shopifyでは無料体験も実施していますので、ぜひお試しください。
決済照合に関するよくある質問
決済照合の例は?
代表的なのは、帳簿と銀行で処理の時期がずれた取引の照合です。たとえば、帳簿に記録した顧客への返金が月末時点で銀行ではまだ処理されていなければ、未照合のまま残し、銀行の明細に載った時点で照合済みにします。
取引の照合と決済照合の違いは?
取引の照合では、注文1件ごとにストアと決済代行会社の記録を突き合わせます。決済照合では、決済代行会社がそれらをまとめて送金した額が、銀行口座の入金と合っているかを確かめます。
決済照合と入金照合、支払照合の違いは?
入金照合は受け取ったお金、支払照合は支払ったお金の記録を、銀行の明細や請求書と照らし合わせる作業です。決済照合はこの2つに加え、銀行口座の残高の照合や取引内容の最終的な確認作業なども含みます。




